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2014'09.12 (Fri)

BGT Vol.3 『パンズ・ラビリンス』

おひさしぶりです。
映画と短歌のクロスレビュー、Back Ground Tanka  vol.3です。
BGT Vol.3 『パンズ・ラビリンス』



 虹 土葬された金魚は見ているか地中に埋まるもう半輪を (木下龍也)

上があれば下が  右があれば左が
内があれば外が  生があれば死が
わたしがいればあなたが
見えているものがあれば、見えていないものがあること。
それだけのことをこれ以上ないくらい鋭く鮮やかに言い表した短歌。

「パンズ・ラビリンス」もそんな映画です。
ファシズムの暗い影響下で暮らす少女に別世界から救いの手が差し伸べられる、というようなおはなし。
現実と幻想の世界が平行に描かれ、寓話的なシーンがふんだんに散りばめられています。
観終わった人間の解釈はふたつに分かれる、と言われていますが、
特筆すべきは、
必ずそうなるように秀逸に書き上げられた脚本だということです。
「あなたは何を見るのか」
現実でも、ファンタジーでも、それがすべて。

木下龍也さんにはいろいろな感情を持っているのですが、一言で言えば好き。
もう一言言えば、うーん、けしからん、かな。


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18:20  |  未分類  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2014'07.09 (Wed)

MoNo語りVol.2 朗読抜粋 『しぶといあぶく』 『Don't you dare』

  しぶといあぶく

約束はすればするほど破られてワールドレコードみたいじゃないか

ああきっと骨伝導の実験だ好きじゃないのに抱きしめられた

好きだって言ってもありがとうって言うやまびこじゃないことは知ってた

テトリスと恋は違うよ。いっぺんに消さなくたっていいと思うよ。




  Don't you dare

孤独ってAM9:00の新宿駅みんながお手玉してるアレだよ

僕らしい人間だったことなんか一度たりとてなかった僕だ

宝石のような硝子でつくられたこの万華鏡のような命

「大丈夫」「だいじょうぶ」って言うたびにチーズみたいに すこし 削れる

この道が尽きたら海が見えるからそのとき泣けばちょうどいいよね








6/28 MoNo語り、あらためてありがとうございました。
おあいできた方々、うれしかったです。
未発表のものなどぬいて、ならべました。
02:07  |  短歌  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013'12.29 (Sun)

Back Ground Tanka 映画を観ている、短歌が聞こえる vol.2

BGT Vol.2 『月とチェリー』

例の私の、私による、私のための短歌×映画企画、Vol.2です。
今回は西村湯呑さんのリクエストにより、歌会たかまがはら内で紹介した短歌と映画です。



 閉じ込めるはめ殺しの窓苦しくてメイクラブとか言うよりファック (二玉号)

はめ殺しの窓、というのは、それだけで閉塞感が感じられますね。
私はホテルかなと思ったのですが、高層マンションだったりもするかもしれない。
普通の住居なら窓を開けないような奥まった部屋。あるいはオフィスとかね。
何にせよ普通に普段の生活を送っている場ではないのだと思います。
インパクト大の下の句に対して、負けない切実さを持っている上の句。
意図してか否か、上の句は言葉づかいもつっかえたような苦しさがあります。
(have a)sexを表すまた別の言い方として、make loveはよりオブラートに包んだ言い方、fuckはより露悪的な言い回しです。
でも実は(主に)同じこと。人によって・時によって・場合によって異なるだけのことです。
その言い方を敢えて訂正する主体には、何か覚悟のようなものを感じられます。

『月とチェリー』は恋と性の初体験をめぐる物語です。
時にコミカル、時に痛いくらい切実で、時に甘酸っぱく、はらはらする映画です。
こういうものを観ると、日本の映画には、まだまだよそゆきのラブストーリーが多いなあと思います。
江口さん、最高ですね。

少し探しにくいかもしれませんが、機会があればぜひ。
19:24  |  BGT  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013'12.20 (Fri)

歌会たかまがはらQ&A集

大変おくればせながら、先日歌会たかまがはらに出演させていただいたときにもらったご質問たちへの、答えです。
ちまたではask.fmがはやってますね。
そのうちやってもいいかも、なあ。

長くなったので、追記にします。
質問したよ!とか気になるよ!な方はどうぞ。


23:43  |  未分類  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2013'11.22 (Fri)

Back Ground Tanka 映画を観ている、短歌が聞こえる vol.1

BGT Vol.1 『50/50 フィフティ・フィフティ』



かなしみを遠くはなれて見つめたら意外といける光景だった(岡野大嗣)

いける。
すぐ言っちゃいますね。「あ、いける」「ぎりぎりいける」「いけそう?」
許容できる、到達できる、そのボーダーのところを意外とみんな見てるんだな。
この歌ではこの言葉がうまく使われているから、ひとりよがりな感じがしない。
遠くはなれてみるまでは、全然「いけない」光景だったんでしょうね。
もうひどいかなしみだったんだと思う。

この映画はいわゆる難病ものというか、若くして癌になってしまった人の話。
お涙頂戴的なところがあまりない映画です。
岡野さんの歌は、これに限らず全体的な雰囲気が近いと思う。
低温だけどとんがっていて、賢いけれど血が通っている。
特に最後の点で、岡野さんの短歌が好きです。
23:55  |  BGT  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
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